戯言
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"文学少女"と...
実はこのところずっと、ファミ通文庫、野村美月さんの「文学少女」シリーズの虜でした。
最初はなんてふわふわで甘々な物語なんだろ、と思って流し読みしていたものが、第3巻を読み終えた瞬間、落雷に打たれたかの如き衝撃。
遅まきながら、このシリーズが最初から完璧に計算されつくして書き始められていた事に、やっと気付きました。
以降、襟を正して読み続けてみれば、巻を重ねる事に、ますます変容と収束を重ねていく世界。
少しづつそのその振幅はふれ、どんな方向に物語が動いていくのか全く予想が出来ず破局だけを予感させる中、ジャストと呼ぶしかないタイミングでの最終巻発売。
その結末もまた、私の思い込みを小気味良く裏切ってくれるものでした。
読み終えた今、まさに感無量。
そして、からだ中が暖かいもので満ちているのがわかります。
第一巻を読了したときに感じた柔らかさが、一回り成長して帰ってきた。
そんな風に感じます。
もっと早くにこの物語と出会っていたら、と思う一方で、一気に読み終える事が出来た自分を幸福と思うのも確か。
そして、こんな物語を書ける人が同時代に居るという幸福を噛み締めたいと思います。
この物語で出会えて本当に良かった。
ライノベ読むしか能が無いダメ人間で本当に良かった。
さよなら朝日ソノラマ
- Date
- 2007-06-30 (Sat)
- Category
- 戯言
朝日ソノラマ店仕舞い
http://www.asahisonorama.co.jp/hp/whatsnew/readers.html
うちらの世代だと、朝日ソノラマと云えばソノラマ文庫。
良幸だった頃の富野監督のガンダムやイデオンのノベライズに始まって、高千穂遥の「クラッシャージョウ」。
あとは何と云っても、夢枕獏の「キマイラ・吼」シリーズに、菊池秀行の「ヴァンパイヤハンターD」シリーズ、トレジャーハンター八頭大の「エイリアン」シリーズ
菊池秀行はこの他にも色々本を出していて、「妖神グルメ」というクトゥルー神話なのに料理ものという妙な作品がありましたっけ。
あと、「風の名はアムネジア」という作品も好きで、その中に出てくる自動警備ロボットをジャンクパーツ集めて適当にこさえてみたりして。
そんな訳で、結構な数のソノラマ文庫を揃えていた筈なんですが、学生時代に実家を離れてからいつの間にか全て売り払われてしまい、今は何も残っていません。
(サンリオSF文庫も相当あったのになあ)
そんな中、何故読んでいなかったのが笹本祐一「妖精作戦」シリーズ。
高専時代は、SF研などと云う、怪しい同好会を立ち上げてヲタ友達をかき集めていたので、それなりに話題の作品であれば情報が入ってきていた筈なんですが、この作品だけは何故かすっぽり抜け落ちてました。
(ちなみに、その当時の私のお気に入りは山田正紀。)
で、私も忘れていた作品だったんですが、最近になって「イリヤの空、UFOの夏」がこの作品へのオマージュであるという事を知ったり、「涼宮ハルヒの憂鬱」の長門のモデルになったキャラクターが登場する、などと云う話を聞いて、俄然読んでみたい気持ちに。
ところが、既に絶版となっている作品であり、書店では注文不可能。
GWに神田の古書店街をうろうろしてみましたが、ソノラマ文庫自体の取り扱いがほとんど無し。
ヤフオクなどではかろうじて見かけるものの、海外からでは流石に落札する気にもなりません。
ま、これも縁が無かったという事なんだろう、あきらめるしか無いかもなあ、などという話を同僚にしてみたら。
何と同僚が中国に持って来てました。
....有り得ない。有り得ないよ。
ちなみにこの同僚と私は、工場立ち上げのため、2年前に出向して来たたった二人の日本人だったりします。
以降1年半の間、日本人はこの二人しか居なかったので、お互い助け合って生活をして来ました。
まあ確かに、毎月、月刊マガジンとLaLaを買っているので、私のアフタヌーンとコミックハイときららキャラットと電撃大王をお互い貸し借りはしていましたが。
まあ確かに、碇シンジ育成計画の新刊が出る度貸してくれるので、私はマリみてとあいこらとさよなら絶望先生とドージンワークを貸してましたが。
まあ確かに、自分以外で「グインサーガ」読んでる人間を、生まれて初めて見はしましましたが。
(ちなみに自分は90巻台で挫折)
なんて云うか、類は友を呼ぶって事ですかね。(って、そんなレベルじゃねー!)
という訳で、さっそくお借りして読書中。現在2巻の途中です。
確かに1巻での、公表されてはいないけど、裏では宇宙人と地球人との戦いが始まっているというシチュエーションは「イリヤ」そのものだし、2巻の学園祭に向けての8mm映画製作を巡るドタバタなどは「朝比奈みくるの冒険」を思わせます。(というより劇場版うる星やつら2か)
80年代に生まれた物語である以上、物語の展開やキャラクター造形の古さは否めませんが、どこまでも前向きでバイタリティ溢れる登場人物達の活躍は、なかなかに楽しめます。
今のような洗練されたオタク文化では無いけど、骨太で愚直な情熱だけが無駄に溢れていた当時ならではの作品、と云えるかも。
そういえばあの当時は、こんな作品がいっぱいありましたっけ。
3巻からは長門のモデル(表紙の娘らしい)が出てくるらしいので、今から楽しみです。
残念ながら朝日ソノラマでの再販はもう不可能となってしまいましたが、出版事業そのものは引き継がれるとの事ですので、逆にこの機会での再販を御願いしたいところです。
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世界と戦うということ
- Date
- 2007-06-28 (Thu)
- Category
- 戯言
こうして海外で外国人相手に仕事をしていると、自分が日本人であるという事を否応無く意識せざるを得ない訳ですが。
村上龍のエッセイでも似たよう事が書いてありましたが、自分が日本人であることを最も意識せずに生きていける国は実は日本です。
日本の中では、単一民族という幻想があって、他人とのコミュニケーションするに当たっても、阿吽の呼吸で何とかなってしまう。
ところが、海外に出てそんな曖昧なコミュニケーションが全く通じない事態に直面、文化の違いを実感して初めて、自分が日本人である事に気づく訳です。
ただ、実感する事自体は悪い事では無いし、それで反省して世界に通じるよう自分を変えていくのも素晴らしいと思うのですが、中にはその衝撃のあまり、自分が日本人であるというアイデンティティに退行してしまい、妙に和風な人間になってしまう奴がいます。
これは大変にカッコが悪い。
そう思うようになったきっかけは、某視聴者参加型の番組を見ていた時。
その番組では、ファッションデザイナーを目指す若者を集めて、優勝者がアメリカで自分の服を売る事が出来るというコンペをやってまして。
で、優勝者がいざアメリカに行って自分がデザインした服を店頭に並べたら、これが全然売れないと。
どうしようと悩んだ挙句に言い出した台詞がこんな感じ。
「自分は日本人。日本の和の心が大事です。」
で、それまでの服のスタイルを止めて和風なデザインの服を作り始めまして、物珍しさで外人ウケしてそこそこ売れて、万歳万歳。
「これからも、自分は日本人であるという事を大事にしてデザインをして行きたい。」なんて事を言い出す訳です。
これを見て、大変に不愉快な気分になったのを覚えています。
だって貴方は自分のデザインの才能を信じて、アメリカに行ったんでしょう。
にも関わらず、貴方には自分の生まれた国くらいしか、武器が無いのですか。
貴方のデザインの才能は、日本人というアイデンティティの前に簡単に霞んでしまうようなものなのですか。
少なくとも、世界を相手に戦おうと思うなら、生まれた国だの人種だのを超えて、手前の才能と努力だけで勝負してみろよ。
と、そう思ったのを覚えています。
今現在、世界で通用している日本人デザイナーやミュージッシャン、スポーツ選手などは、間違ってもこんな戦い方はしていないと思います。
彼らのファッションや音楽、プレイスタイルは、彼ら自身が世界と同レベルになろう、超越してやろうと努力し続けた結果到達出来たものです。
それは日本人であろうが、欧米人であろうが、世界と戦おうとする人間なら、誰もが通らなければならない道。
そこにあるのは単純に個人のパワーのみの競争であり、人種によるアイデンティティなんて甘っちょろいものが入り込む隙間などどこにも無いのですよ。
(当然、人種によるプラスマイナスはあるにせよ、それを跳ね返せるだけのパワーを持つか否かだけの問題でしかない。)
それほど厳しい競争を勝ち抜いて来たが故に、彼らは世界に君臨しうる訳です。
でも一方で、その結果を見たとき、日本人であるからこそ成し遂げられた部分というのも、実は必ずあるように思います。
例えば三宅一生のデザインの無国籍さ、坂本龍一の音楽の未来への志向性(最近はそうでも無くなりつつありますが)。イチローの勤勉さと精神性。
これらは、日本人であったが故に到達出来たものとは云えないでしょうか。
逆に云えば、その人間に日本人のアイデンティティというものが本当にあるのであれば、それはそこまでやって初めて滲み出てくるものなんだろうと思います。
最初から意識して出てくるようなものなんて、所詮紛い物。
それを、いきなり自分は日本人だなんて当たり前の事実だけで勝負しようなんて言語道断。
表現者の風上にも置けねえと思った訳です。
まあこれだけが理由という訳でありませんけど、私も海外で働く一人である以上、そんな下らない人間にだけはなってはならないと自分を戒めて仕事している日々です。
何だか妙に真面目な話を書いちゃいましたけど、要はこのニュースを見て、日本人って何て素晴らしいんだろ、と思った次第。
日本職人によるペイントカーに開発チームも驚き
http://guideline.livedoor.biz/archives/50905852.html
>「なんてことだ。俺は仮想世界でも再び日本人から車を買うハメになるというのか!」
こんな台詞を吐かせられる才能に対し、素直な賞賛以外に何が必要なんだろうか。
これもまた、日本人であったが故に到達出来る境地。
まあ何か、致命的に間違っている気はするがな。(w